2025.01.22
余白のアートフェア直前号
こんにちは。山崎晴太郎です。
いよいよ今週末は福島県の広野町で「余白のアートフェア福島広野」開催です。

実行委員会のスタッフは土日も返上で準備に奔走しています。これだけの規模のアートイベントは僕たちも初めてなので、ほとんどの準備が手探りだったのですが、今回アライアンスを組ませていただいた、価値づくり共働社の赤松氏のノウハウや人脈もあり、なんとか開催までたどり着きました。
セイタロウデザインは、運営委員会の代表企業として、ポスターやフライヤーのデザイン、ウェブデザイン・運用、メディアプロモーションなどを担当しています。イメージする完全な形には程遠いのですが、一つの火種として継続的に育てていけたらと思っています。
さて、今回、僕は「陰翳礼讃」というインスタレーション作品と、「Voice within the voice」シリーズの新作を数点持っていく予定です。
「陰翳礼讃」はアムステルダムで2018年に展示した、僕の最初期の作品なのですが、日本では部分的な展示しか実施していません。「陰翳礼讃」は美濃和紙を字の形に切り抜いて裏から光を当てて、字の形を曖昧にしながら影として映し出している作品ですが、完成形はこれにミニマルミュージックと香りまで加えたものです。音楽はMergrimのTakahisa Mitsumoriくんとコラボレーションしてオリジナルで制作したもの。香りもこの作品のために作ったものです。

スパイラルの個展でお見せしたのは和紙と光の部分の一部だけでしたが、今回は二ツ沼総合公園「合宿の宿」の男子浴場でこの「香り」付きverを展示しようと思っています。次に日本で同じものを展示出来るのはいつなのかわかりませんから、是非、観にいらしてください。

ちなみに僕の展示は浴室の中ですが、脱衣室では舘星華さんがカタカナのグリッチをテーマにしたインスタレーションを展開することになっています。男湯は「文字」がテーマの展示ゾーンです。
Voice within the voiceの新作の方はウクライナのアーティスト、マリア・プロシュコウスカさんの作品(チョルノービリ原発事故をテーマにしたもの)「Fragmented Dreams 4&7」に呼応するものになっています。これまで僕が作ってきた作品の中では一番ポリティカルアート色の強いものだと思いますが、マリアさんの作品の持つ圧倒的な力に往復書簡のように応えるには、既存のテーマの範囲を一歩、二歩、踏み出す必要があるのではと考えた結果です。
こちらも是非、現地でご覧になってください。
僕やマリアさんや舘さんの作品の他にも、素晴らしい作品たちが2日間だけ、広野町に結集します。
参加アーティストのご紹介(一部)
本当は全てをご紹介したいのですが、スペースの都合もありますので、ほんの少しだけご紹介させてください。
まず、審査員も務めてくださった愛☆まどんなさんは今回、「穴があくぞ「すでにあいている」」という2枚組の新作を用意してくださいました。これは彼女がこれまでに描いてこられた少女たちの絵を空間インスタレーションとして発展させたもので、必ず2枚を向かい合わせて、少女がお互いを見つめ合うように展示してくださいとの指示をいただいています。青少年のための合宿所として建てられた建物の四人部屋の中で愛☆まどんなさんの少女たちが見つめ合うインスタレーション。これも必見です。
同じ部屋にはドット絵キャラクターを使った絵画で東アジアで人気の田村勇太さんの組作品「紅白祝福図(サイド3ver.)」も展示されます。これは尾形光琳の「紅白梅図屏風」のオマージュで、「サイド3」はもちろんあの有名なSFアニメ作品に出てくるあれのことです。
そうそう、僕は男湯での展示ですが、女湯ではベトナム人女性アーティストのLieu Leさんのテキスタイルアートのインスタレーションが展開されます。彼女は染色をモチーフにしているので、浴槽というアイテムが自作にぴったりだということで、女湯での展示をリクエストされました。Lieu Leさんは会期中在廊されますので、是非、感想をご本人にお伝えください。
1階には写真作品を集めた部屋もあります。ヨーロッパで長年、一流のアーティストとして活躍しておられる尾黒久美さん、そして漆喰に写真をプリントする技法の池谷友秀さんのオリジナルプリントが見られます。
写真では他にネイチャーフォトで世界的に極めて高い評価を受けておられる山形市のフォトグラファー小関一成さんが、茶室(清明館)で、同じく山形からいらっしゃる二人組ユニットのあるほなつきさんと共同展示。清明館では他にロンドンのスレード校でMFAを取られた西永和輝さんのスカルプチャー、黒谷和紙のアートで超人気のハタノワタルさん、現代的な仏画を追求している新井文月さんの展示があります。
写真といえば、まるで日本画のようなネイチャーフォトでヨーロッパでの人気が高い竹腰隼人さんは合宿の宿の2階。幻想的なテラコッタ彫刻の曽根絵里子さんとの二人展です。
まだ全体の1割もご紹介出来ていないのですが、こんな感じで続けていくといつまでも語れてしまうので、今回のメールマガジンはここまでということで、是非、ここでご紹介出来なかった作品も含めて会場でご覧になってください。25日の夜はハタゴイン福島広野でレセプションです。どなたでもいらしていただけます。
また、全ての作品は2月28日までウェブでご購入いただけます。
こちらもよろしくお願いいたします。
韓国「URBAN BREAK」への展示が決定
その他の新着情報としては、韓国のストリートアートの祭典「URBAN BREAK」に招待していただきました。こちらは、韓国における記号消費を象徴するブランドを選び、「Fossils from the future」の新作を作ろうと思っています。何かご存知の方がいればぜひ、教えてください。
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