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2025.05.23

こんにちは。山崎晴太郎です。

前回のメールマガジンから少し空いてしまいましたが、色々と大きなプロジェクトが動いていて、相変わらずの日々を過ごしています。

今回のTOPICSは二つ。

Fringe Arts Bath(FaB)への出展

Fringe Arts Bathはイングランド南部のバースの町で2007年から開催されているアートイベントです。ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、この町はお風呂の語源ともなった有名な温泉地・観光地で、同じく現代アートが盛んな日本の温泉地、別府市とは姉妹都市になっています。

世界的観光地らしく、バースでは昔から様々な音楽祭や芸術祭が開催されてきたようなのですが、現在ではクラシック音楽祭と文学祭、児童文学祭がバース・フェスティバルに統合されて実施されています。いわば、高尚芸術のフェスティバルです。

一方、ストリートアートやポピュラー音楽、民俗音楽、サーカスといったサブカルチャーのフェスティバルが「Bath Fringe Festival」として1980年代に始まり、こちらから枝分かれする形で生まれたのが「Fringe Arts Bath」です。高尚芸術を扱うバース・フェスティバルではなく、サブカルチャーの方の「Bath Fringe Festival」からスピンオフして現代アートの芸術祭が生まれたという経緯は興味深いですよね。実は地域密着型の現代アートイベントとして、山出淳也さんが立ち上げた別府プロジェクトや、アメリカのアートプライズと並び、僕らが「余白のアートフェア福島広野」を立ち上げる際に参考にしたのが「Fringe Arts Bath」でした。

「Fringe Arts Bath」の面白い点はもう一つ、若手キュレーターの育成にも力を入れているというところです。今年は32人・組の若手キュレーターが選ばれ、それぞれが公募テーマを設定しての公募を行っていました。僕が応募したのはRoyal College of Artのシニア・チューターをしているIsabel Youngの企画「In Search of Ghost」です。

バースは古代ローマの時代から保養地Aquae Sulisとして栄えた町で、現在も観光の目玉はローマ時代から残る大浴場。この歴史と切り結ぶ形で、「考古学」をキーワードに過去や未来と現代の関係を考察する作品が集まります。僕は「現代の消費文明の痕跡が、遠い未来に発掘されたら」というスペキュラティブ・フィクションをテーマにした「未来からの化石」シリーズから、「Lay’s」を出展しました。

「Fringe Arts Bath 2025」は5月23日がオープニングレセプション。5月24日から6月7日までの開催です。この期間にイングランドにいらっしゃる方、是非、足を運んでみてください。

久しぶりの抽象水墨画

ぼくが、現代アート作品を作り始める前段階にあった表現の一つが水墨画です。なので、初期作品はかなり水墨画の要素が残っているのですが、最近、久しぶりに水墨画の作品を仕上げてみました。といっても水墨画の古典的な画題ではなく抽象画としての水墨画です。水墨画なので落款も押してあります。西洋絵画では作者名のサインは作品の一部とは言い難いのですが、水墨画では落款のデザインや位置は作品の重要な一部になっています。

この作品は習作的な位置づけなので、実は正式なタイトルもまだ決まっていないのですが、出来上がったものを見ると、ぼくのこれまでの水墨画系作品と違って色が主役になっている新しさもありますね。この作品を起点にして現代アートとしてシリーズ化していくと、また新しい表現が開けていく気もしています。

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