本作品は、JR西日本のコミッションワークとして2024年に制作したものである。

「Specimen of the Spilled Over / こぼれ落ちたものの標本」は、写真と彩色された3Dプリントのスカルプチャーを組み合わせたミクストメディアのシリーズである。様々な場所で採集した音風景のソノグラフから、明確な音と雑音の境界を漂う形を抽出し、それを3Dプリントと彩色によって表現し、同じ場所で撮影した写真の上に虫ピンで取り付けている。スカルプチャーは、言葉になる以前の何かとしてその場所に存在している気配を表現している。

JR西日本のコミッションワークでは、大阪駅、金沢駅、京都駅、博多駅など、JR西日本を代表する10のターミナル駅の音風景を採集し、そこにアーティストがデザインしたJR西日本オリジナルのフォントによる3Dプリントを組み合わせている。これらの駅にはすべて、その土地独特の言葉の響きがあり、山や川や海から吹いてくる風の音があり、街特有の気配が存在する。言葉としての街の名前だけではなく、その土地でしか聴くことができない魅力的な音風景もまた、街の名前の一部である。